文部科学省は19日、来年度から予定していた、私立大学を対象とした入学定員の管理強化を3年間見送ると発表した。定員を上回る入学生が1人でもいたら、その人数に応じて私学助成金を減らす予定だったが、既に行っている管理強化で一定の効果が上がっていると判断した。
地方を中心に定員割れする私立大が多いなか、文科省は収容定員8千人以上の大規模大を中心に定員管理の厳格化を2016年度から段階的に進めており、大規模大は今年度からは入学者が定員の1・10倍以上になった場合、助成金をゼロにしている。この結果、定員割れをする小規模大は減ったが、当初の合格者数を絞って追加合格を出す大規模大が相次ぎ、受験生に混乱が広がるなどしている。
文科省はこうした状況を考慮し、3年間は今年度と同じ基準を続けたうえで、改めて効果などを検証することにした。一方、入学者を定員の0・95倍~1倍に収めた大学に対して助成金を増やす取り組みは、より定員管理を徹底させるため、範囲を0・90倍~1倍に広げて始めるという。(増谷文生)