1994年3月、東京駅に近い銀座1丁目に沖縄の特産品や観光情報を紹介する「銀座わしたショップ」が誕生した。今や銀座、有楽町と日本橋のエリアを中心に広がる、今風の自治体アンテナショップの走りだ。
東京の一等地を選んだのは、「地元の生産者に自信をつけて欲しいという思いからでした」と副店長の渡久地(とぐち)政和さん(53)はいう。
店ができる前、沖縄県物産公社の営業マンとして自身も、伝統菓子「ちんすこう」などを東京のスーパーや商社に売り込んだ経験があった。しかし、沖縄の食べ物も文化もあまり知られておらず、相手にされなかった。
ならば直接、都会の消費者を相手にしよう。銀座で売れた実績で県内企業に自信がつけば、販路を全国や海外にも広げる基盤になる。その思いを込めての銀座だった。
一等地のテナント料は当時で年…