刑事事件の被告と接見した際、写真撮影した画像を消去させられたのは違法だとして、弁護士が国に330万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、弁護士の敗訴が確定した。最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)が18日付の決定で、「違法ではない」とした一、二審判決を支持し、弁護士の上告を退けた。
一、二審判決によると、弁護士は2012年、福岡拘置所小倉拘置支所で接見した刑事事件の被告から「職員から暴行を受けた」と訴えられた。携帯電話でほおのすり傷を撮影したところ、面会室の小窓から見ていた職員に画像を消去するよう何度も求められたため、やむなく応じた。
一審・福岡地裁小倉支部は、撮影が弁護活動の有効な手段になり得ると認めつつ、「刑事施設の規律や秩序を維持する必要がある」と指摘。拘置支所が撮影機器の持ち込みを禁じていることも踏まえ、職員の対応が「弁護士の権利を不当に制約したとはいえない」と判断。二審・福岡高裁もこれを支持していた。(岡本玄)