愛知県岡崎市橋目町の住宅で8月末、会社員生田好男さん(53)が殺害された事件で、愛知県警は19日、同県豊橋市佐藤3丁目、無職高橋律行(つねゆき)容疑者(56)を殺人の疑いで逮捕し、20日発表した。容疑を認めているという。
発表によると、高橋容疑者は8月31日朝、生田さんの自宅で、持っていた刃物で生田さんの右脇腹を刺したほか、首を切りつけて失血死させた疑いがある。
捜査関係者によると、高橋容疑者の供述をもとに県警が捜索したところ、同県安城市内で殺害に使用したとみられる凶器のナイフが見つかったという。
高橋容疑者は、生田さんや生田さんの妻(45)と知り合いで、過去にはこの妻と金銭を巡るトラブルがあったという。事件前、生田さんは知人に「殺されるかもしれない」と漏らしていたといい、県警は高橋容疑者との間で何らかのいざこざがあった可能性があるとみて調べている。
県警によると、生田さんは発見時、自宅1階の居間でうつぶせの状態で、手足を縛られ、目隠しをされていた。腹や首に複数の刺し傷や切り傷があり、腹の傷は大動脈に達するほど深かった。玄関や窓は施錠されていたが、生田さんが使っていた玄関の鍵は自宅に残されていた。
美容院経営で金銭トラブル?
高橋律行(つねゆき)容疑者(56)は愛知県半田市出身で、今年7月以降は同県豊橋市の施設で生活していた。施設関係者によると、他の入居者や職員と目立ったトラブルはなかったという。
親族の女性によると、高橋容疑者は若いころから美容師として働き、20年ほど前に独立。地元の半田市内に自分の店を持ったこともあり、店を閉めた後は名古屋市内の美容院で働くなどしていたという。
しかし、15年ほど前から親族との連絡を絶ち、最近は消息が分からなくなっていた。この女性は高橋容疑者について、「性格は温和で、気が小さい。昔は、実家の酒屋を手伝ってくれる優しい子だった」と振り返った。
独立したころの高橋容疑者を知る飲食店経営の男性(63)は「うそをつくことが多く、真面目という印象はなかった」と話す。美容院の経営は苦しく、金銭トラブルを抱えているという話を耳にしたこともあったという。