20日に投開票された自民党総裁選で、安倍晋三首相に敗れた石破茂元幹事長の戦いぶりをめぐって、舌戦が起きている。「善戦」との評価が広がる石破氏は21日、「党員の45%が私に入れている」と述べ、憲法改正を急ぐ構えの首相を牽制(けんせい)した。一方、安倍首相を支持した麻生太郎財務相は首相の「圧勝」を強調した。
特集「安倍×石破 二人が見る日本―自民党総裁選2018」
石破氏はこの日、総裁選のお礼参りで、衆参の国会議員の事務所を訪問。首相が自衛隊を明記する自身の9条改憲案が信任を得たとの認識を示したことを記者団に問われ、「憲法の考えが(首相と)違うことが明らかになったうえで、党員票の45%が私に入ったことをどう考えるかだ」と反発。地方票での「善戦」を自ら強調した。
一方、麻生氏は同日午後に開いた麻生派の会合のあいさつで、2012年の総裁選での決選投票と比べ、国会議員の数が増えたにもかかわらず石破氏の国会議員票が減ったことに触れ、「どこが善戦なんだ」と指摘。閣議後の記者会見でも「国会議員の方が本人をよく見ている」と話した。
石破氏は同日夜、収録のため訪れたテレビ局で、記者団から麻生氏の発言の受け止めを問われ、「半数近くの支持の評価を善戦ではないとおっしゃるのは、党員の気持ちとズレが起きているのではないか」と答えた。
総裁選は、1人1票の投票権を持つ国会議員票405票と同数の地方票の計810票で争われ、安倍首相は553票を獲得。石破氏は254票にとどまったが、事前の予想を大きく上回り、党内では善戦と受け止められている。(岩尾真宏)