安倍晋三首相が11月にオーストラリアを訪問し、モリソン新首相と会談する方向で調整していると22日、豪公共放送ABCが政府筋の話として報じた。中国をにらんだ防衛協力の強化が焦点の一つで、安倍氏は、太平洋戦争中に日本軍が空爆した豪北部ダーウィンを日本の首相として戦後初めて訪れる予定だという。
ABCによると、安倍氏は、11月18日にパプアニューギニアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に出席する前に、豪州を2日間の日程で訪れる方向だという。
ダーウィンは、太平洋戦争中の1942~43年に日本軍が空爆を繰り返した。42年2月19日の空軍基地などへの空爆では、市民を含む約250人が犠牲になった。安倍氏は戦没者慰霊碑のほか、日本の国際石油開発帝石が開発・運営する大型液化天然ガス(LNG)事業地も訪れる計画だという。
東南アジアに近いダーウィンは、豪州にとって国防上の拠点の一つ。中国の南シナ海での軍事拠点化もにらみ、2012年から米海兵隊も駐留している。(シドニー=小暮哲夫)