むいたり切ったりしたら、売れ行きアップ――。果物の消費量の漸減傾向が続くなか、カットフルーツが売れている。家族の少人数化や食べるまでの手間を避けようとする消費者の志向が後押ししている。
「キウイ、2本ちょうだい」「スイカを1本」
カラフルなショーケースの前で、客が次々と注文していく。広島市に4月にオープンしたショッピングモール「イオンスタイル西風新都」内の果物店「フルーツマルシェ デポ・デ・サンテ」。イオン直営店だ。
ここの人気は串刺しのフルーツ。キウイ、メロン、地元産のナシなど10種類ほどを使う。一番人気はイチゴ、キウイなど5種類を刺した「フルーツスティック」(税抜き158円)。「新鮮な果物をその場で食べてほしい」という山知克旨(やまちかつむね)店長(53)が発案した。
孫とよく利用するという女性(66)は「簡単に果物を食べられる。値段も手頃です」という。売り上げは当初予想の5倍を超える。
イオンリテールの室井英男農産商品部長(54)によると、「カットフルーツは、10年ほど前から売れ行きが伸び、最近は年に10~20%ほど伸びている」という。メロンやスイカは1個売りが減り、半分や4分の1のものが主流に。さらにスイカは2年前からブロックに切ったパック詰めの商品が最も売れるようになった。
「単身世帯が増えるなど家族構成が変化したことや、皮むきや切る手間が敬遠されることなどが原因」と室井さん。農林水産省によると、1人当たりの果物の年間消費量は、1994年の約44キロをピークに漸減傾向で、2016年は約34キロだった。
イオンでは、一口サイズの柿、房から外したブドウなど、カットフルーツの種類は増える一方という。フルーツスティックも全国展開していく方針だ。
■品種改良も消費…