福岡市中央区天神で昨年4月、金塊取引用の現金3億8400万円が奪われた事件で、強盗致傷罪などに問われた東京都葛飾区の会社役員、東房義昭被告(45)の裁判員裁判の判決が25日、福岡地裁であった。足立勉裁判長は「被害額は巨額で、事件の計画者と実行役の橋渡しという重要で不可欠な役割を担った」と述べ、懲役13年(求刑懲役14年)を言い渡した。
判決によると、東房被告は暴力団員だった小菅誠被告(42)=強盗致傷罪などで起訴=らと共謀して昨年4月20日、中央区天神1丁目の駐車場で、貴金属関連会社の男性に催涙スプレーをかけて軽傷を負わせ、3億8400万円が入ったスーツケースを奪った。
判決は、東房被告が、小菅被告から金塊取引の代金を奪う計画を持ち掛けられ、無職の小野田友一被告(42)=同=に実行を依頼したと認定。「実行役が現金を奪う際、相手が抵抗できなくなるような暴行を加えると認識していた」と指摘し、弁護側の「暴行の共謀はなく窃盗罪にとどまる」とする主張を退けた。
東房被告は、事件前日と6日前に強盗を計画して待ち伏せをしたとして強盗予備罪にも問われていたが、判決は、待ち伏せの事実を認定した上で、犯行の手段や共犯者が同じだった点などを踏まえ、「予備罪は構成せずに強盗致傷罪に吸収される」と判断した。(一條優太、菅原普)