大阪府警富田林署から逃走し、加重逃走容疑で逮捕された樋田淳也容疑者(30)とみられる男が8月末、高知県内で警察官に職務質問を受けていたことが、捜査関係者への取材でわかった。男は自転車に乗っていたが、その際に警察官は防犯登録番号を照会せず、職務質問しただけで終わったという。
職務質問をした警察官が報道で樋田容疑者の顔写真を見て3日に上司に報告し、県警が把握した。
樋田容疑者は8月12日に富田林署から逃走。その後何らかの手段で四国へ渡ったとみられ、「自転車での日本一周」を装って、西へと逃走していた。
捜査関係者によると、樋田容疑者とみられる男は8月30日、高知県須崎市の道の駅「かわうその里すさき」を訪問。同午後11時半ごろ、「不審な男がいる」と須崎署に通報があり、署員2人が樋田容疑者とみられる男に声をかけた。
男は「日本一周をしていて、四国に来たので八十八カ所を回っている」と話したという。受け答えに不自然な点はなく、職務質問を終えたという。男は偽名を名乗っていた疑いがあるが、警察官2人は男が樋田容疑者である可能性を検討せず、自転車の防犯登録番号も照会しなかった。
樋田容疑者は9月29日、山口県周南市で万引きしたとして逮捕された。その際に自転車の防犯登録番号が「大阪」だったことが判明。山口、大阪両府県警が連携して確認を進め、指紋などから身元を特定した。
警察庁長官「あってはならない」
大阪府警富田林署から樋田淳也容疑者(30)が逃走した事件について、警察庁の栗生俊一長官は4日の定例記者会見で、「逮捕まで期間を要し、地域の方々をはじめ広く不安を与えた。あってはならない事案だと認識している」と述べた。
栗生長官は、8月の事件発生直後から各都道府県警で留置施設の点検などを進めてきたとし、「捜査の結果をふまえ、警察施設のセキュリティーなど再発防止に生かしていきたい」と語った。