滋賀県多賀町の名神高速道路で昨年11月、スマートフォンを操作しながら大型トラックを運転して5人を死傷させる事故を起こしたとして、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた元トラック運転手前田博行被告(51)=新潟県見附市=の控訴審判決が4日、大阪高裁であった。西田真基(まさき)裁判長は「非難の程度が相当に高い」として検察側の求刑(禁錮2年)を上回る禁錮2年8カ月とした今年3月の一審・大津地裁判決を支持し、弁護側控訴を棄却した。
判決などによると、前田被告は昨年11月、名神高速道路下り線で大型トラックを運転中、スマホの操作などに気をとられ、愛知県一宮市の男性(当時44)が運転する前方の乗用車に追突。男性を死亡させ、4人にけがを負わせた。
被告側は控訴審で「事故原因は居眠り運転だった」などと主張したが、西田裁判長は「居眠りなら本人が当初から分からなかったはずがない」として、被告が捜査段階や一審で「ながら運転」を認めた供述は信用できると判断。検察側の求刑について一審判決と同様に、「ながら運転の危険性を過小評価し軽すぎる」と指摘した。