「日本の台所」と称された東京都の中央卸売市場・築地市場(中央区)は6日、83年に及ぶ営業を終えた。業者らは午後から引っ越し作業を本格化させ、移転先の豊洲市場(江東区)は11日に開場する予定だ。
「築地市場、みんなプロだった」移転で店畳むマグロ仲卸
この日の取引量は水産1748トン、青果844トン。マグロは計874本が取引され、最高値は青森県大間産の438万5千円(速報値)だった。
場内は買い出し人や観光客でにぎわい、昼ごろまでに全ての店が営業を終えた。築地市場には国内の中央卸売市場の4分の1の水産物が集まり、卸売業者らが築いた「築地ブランド」は国際的な知名度もある。
ただ、施設は老朽化し、現地での再整備も進まなかったため、都は2001年に豊洲への移転を決めた。しかし、豊洲の予定地で土壌汚染問題などが相次ぎ、小池百合子知事が移転を延期。追加の安全対策工事を実施したうえで、今年7月に「安全・安心」を宣言。開業は2年遅れとなった。
市場内で60年以上店を営む水産仲卸大手「山治(やまはる)」の2代目社長、山崎康弘さん(49)は「これからもよろしく」となじみの客に声をかけ、「ここで育ったようなもの。寂しいけど、ありがとうだな」と振り返った。移転先の豊洲市場は温度管理や衛生管理を強化するため、外気が入らない「閉鎖型」の施設だ。山崎さんは「単なる物流センターにしないため、(良い魚を見定める)『目利き』の力を生かして頑張らないとな」と力を込めた。