10日のニューヨーク株式市場は、米長期金利上昇への警戒感が強まったことなどから全面安の展開となった。大企業でつくるダウ工業株平均は大幅に続落し、前日比831・83ドル(3・15%)安い2万5598・74ドルで終えた。下落幅は史上3番目の大きさ。ダウ平均を構成する30銘柄すべてが値を下げた。
朝方発表の9月の米卸売物価指数が前月比0・2%増と順調な伸びを記録。米国でインフレが進むとの見方などから、米長期金利の指標となる10年物米国債の利回りは一時、年3・24%前後まで上昇した。市場では、金利上昇が米景気や企業業績に悪影響を及ぼしかねないとの懸念が強まった。
最近の株価急騰で割高感が強まっていたIT関連が特に大きく売られ、マイクロソフトは5・4%安、アップルは4・6%安に沈んだ。ハイテク株の比率が高いナスダック市場の総合指数も急落し、前日比315・97ポイント(4・08%)低い7422・05で終えた。
米中貿易摩擦への懸念もくすぶり続けている。米大企業の2018年7~9月期決算発表が今週後半に本格化するのを控え、米中の高関税の応酬が企業業績に与える悪影響も意識されたもようだ。航空機大手ボーイングや建機大手キャタピラーなど、中国ビジネスの割合が大きい銘柄の下落も目立った。
投資家がリスク回避の姿勢を強めたことから、10日のニューヨーク外国為替市場では、ドルを売って相対的に「安全資産」とされる円を買う動きが強まり、円高が進んだ。午後5時(日本時間11日午前6時)現在では1ドル=112円22~32銭と、前日同時刻に比べ69銭の円高ドル安水準で取引されている。(ニューヨーク=江渕崇)