11日の東京株式市場では、前日の米国株価の大幅安を受け、日経平均株価が急落している。下げ幅は一時1000円を超えて2万3000円を割り込み、約1カ月ぶりの安値水準。外国為替市場では円が急伸している。中国・上海などアジア市場も軒並み株安となっている。米長期金利の上昇や米中貿易摩擦が景気を冷やすとの警戒感が急速に広がり、世界同時株安の様相だ。
日経平均下げ幅、一時1000円超に 米株価急落受け
NYダウ急落、831ドル安 米金利上昇を懸念
前日の米株安を受け、11日の東京市場で日経平均は2営業日ぶりに下落し、取引開始直後から全面安となった。前日終値より450円超安で取引を始め、下げ幅は一時1000円を超え、取引時間中としては約1カ月ぶりの安値となった。2月の米金利上昇後の米株急落時以来の下げ幅だ。午前の終値は前日終値より914円94銭安い2万2591円10銭。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は62・05ポイント低い1701・81。
日経平均は10月初めには2万4200円台をつけ、バブル崩壊後の最高値圏となっていたが、先行きへの警戒感から9日までに800円超値下がりし、米国株急落で一段安となった。
東京に続いて取引が始まったアジア市場の株価も軒並み下落。中国・上海の株価指数は一時約4・5%も下落し、韓国や台湾の株価も下落している。
東京外国為替市場では、リスクを避けるため「安全資産」の円が買われ、円高ドル安となった。正午時点は、前日午後5時より96銭円高ドル安の1ドル=112円11~12銭。
前日10日の米ニューヨーク株式市場では、大企業でつくるダウ工業株平均が大幅続落し、構成銘柄がすべて下落。終値は前日比831・83ドル(3・15%)安い2万5598・74ドル。下落幅は2月の急落以来の大きさで、史上3番目だった。ハイテク株の比率が高いナスダック市場の総合指数も急落し、前日比315・97ポイント(4・08%)低い7422・05で終えた。
日米市場の株価急落を招いたのは、米国での長期金利の上昇だ。9日公表の9月の米卸売物価指数は前月比0・2%増となり、インフレが進むとの見方から、長期金利の指標となる10年物米国債の利回りは一時、年3・24%前後まで上昇。米国では景気拡大が続いて株高が続いていたが、金利上昇が企業収益を圧迫し、景気にブレーキをかけるとの見方が一気に広がった。「恐怖指数」とも呼ばれる米国株の変動率指数(VIX)は、先行き不安が高い状態とされる「20」を半年ぶりに超えた。
市場では「株高が続く一方で、米中貿易摩擦などの不安感がたまっていた。株安をきっかけに転がるようにリスク回避の動きが広がっている」(大手信託銀行)との声が出ている。(大和田武士、ニューヨーク=江渕崇)