ユニーはドンキと協業した「MEGAドン・キホーテUNY」を6店で展開している。安さと買い得感を打ち出すドンキの「驚安(きょうやす)路線」は、どういうものか。5日に改装オープンした東海通店(名古屋市港区)を訪ねた。
「ちょっと奥さん!お安いですヨ!」。手書きのポップが貼られた入り口を抜けると、生鮮売り場があった。商品を高く積み上げる「圧縮陳列」が目立つ。「これぞドンキの意地!!驚安」「お客様の笑顔のために 圧倒的驚安プライス」。大書したポップが特徴だ。精肉コーナーには「メガ盛」シールが貼られた国産豚肉があった。1パック500グラム以上。通常商品より100グラムで5円以上安い。「保存して家計の節約!!」と貼り紙があり、手が出そうになる。「こっちの方が安い」とつぶやく男性客がいた。
2階はスマートフォン関連商品が並ぶ一角がある。少し狭いが、横山秀樹店長は「探すことを楽しめるように、わざと狭くした」。近くにはハロウィーングッズ、1本10円のボールペン、3割引きの蛍光ペンが並ぶ文房具売り場があり、買う気のなかった商品を見比べてしまった。商品選びの楽しさを集客につなげる戦略だと知った。
この店はユニーの「アピタ」を3月にドンキ化した。主な顧客層を30~40代の親子連れと想定し、玩具、スマホグッズ、衣料品の品ぞろえを拡充。2階中央に滑り台を置いた。周辺には駄菓子、ミニカー、人形が並ぶが、店内を歩くとドローン、カー用品、健康器具、婦人靴、化粧品といった具合に次第に大人向けの商品が目に入った。改装で商品数は3万点増え、10万点超に。横山氏は「ここは大型ショッピングセンターでも、スーパーや専門店でもない。探し回れる楽しさがある」。
ドンキ流の売り場に、近くの主婦(59)は「店内のBGMがうるさくて頭痛がしたが慣れた。アピタの頃から使っていた魚屋が安くて好き」。競合するスーパーの社員は「若者を引きつけているのは、生鮮食品の安さだけではない。こうした店が広がったら、脅威になる」と話す。(斉藤明美)