子ども向けの職業体験型テーマパーク「キッザニア」の運営会社は10日、名古屋への進出を表明した。国内では3番目。開業の目標は2020年度としているが、具体的な立地については明らかにしなかった。
名古屋駅、変わりゆく街
運営するKCJグループ(東京)が計画を示した。キッザニアは子どもたちが消防士や調理師などさまざまな職業を体験できる施設で、国内では06年に東京都江東区、09年には兵庫県西宮市でもオープンし、これまでに計約1700万人が来場した。
メキシコ発祥のテーマパーク。職業体験では、専用の通貨で疑似的に給料をもらい、施設内にあるデパートなどで買い物ができる。銀行に預ければ利子がつき、社会の仕組みについて遊びながら学べるとして人気を集めている。
具体的な建設地は明らかにしていないが、有力視されるのは、名古屋市港区の再開発地区「みなとアクルス」だ。東邦ガスの工場跡地で、敷地はナゴヤドーム6個分の計約33万平方メートル。9月28日には、目玉となる大規模な商業施設「ららぽーと」が開業した。この敷地には追加の開発ができる土地がある。
港区のベイエリアでは、07年に名古屋港開港100周年にちなんだアウトレットモールの構想が頓挫し、08年には商業施設の名古屋港イタリア村が開業からわずか3年でスピード破綻(はたん)するなど、苦い歴史がある。地元からはキッザニアが開業すれば「若い人の流入が見込める」と期待する声が出ている。
中京大学の内田俊宏客員教授は「(港エリアには)学びの施設として名古屋港水族館などもあり、キッザニアとの親和性が高い。進出先として有望だ」と話す。
一方、携帯電話大手KDDI(au)は10日、キッザニアを国内で運営するKCJグループを子会社化したと発表した。KDDIは、19~20年の実用化をめざす超高速の次世代移動通信方式「5G」や、あらゆるモノをインターネットにつなぐ「IoT」の技術をキッザニアの施設で活用する計画だ。(友田雄大)