海上保安官のとっておきの「船飯(フナメシ)」をつくってみませんか――。第4管区海上保安本部が、管内の巡視艇・船で船員に出しているカレーのレシピをウェブサイトで公開している。お気に入りのレシピに投票することができ、4管は「ぜひつくってみて」と話している。
カレー大好き!
公開しているのは、トマトを使った「水なしカレーライス」やパイナップル入り「南国ビーフカレー」など9点。投票結果はウェブサイトで公表する予定だ。
出航すれば1カ月近く戻ってこられないこともある海上保安官にとって、食事は貴重な楽しみのひとつでもある。調理担当の保安官は、地元の食材を使ったり郷土料理をつくったり毎食工夫を凝らす。なかでもカレーは、曜日感覚を失わないよう毎週金曜日に食べたり、帰港日に食べたりする特別な料理だ。
4管の広報担当者は「ふだんの我々の食事を通して、ぜひ海保に興味を持ってほしい」と話している。
投票は31日午後5時まで。レシピは4管のウェブサイト(
https://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/contents/information/002758.html
)で見ることができる。
イカ墨で「驚き」を 巡視艇あゆづきの調理担当者
公開されているレシピのうち、巡視艇あゆづきの「イカ墨シーフードカレー」を作っているのが、同船の主計科員、福島慎一さん(30)だ。「保安官になった当初に先輩に教えてもらったレシピ。黒いルーのインパクトがお気に入りです」と話す。
普段は、船員10人分の食事をひとりで担当している。つくるのは1泊2日の航海で4食。栄養バランスや船員の好みを考えながらレシピを考えている。船員からビーフストロガノフなどのリクエストが寄せられることも。飽きさせないよう、365日同じレシピを出さないように気を配る。
職員として採用されたときはニンジンに皮があることさえ知らなかったが、海上保安学校の主計コースで料理を学んだ。休みの日は、スーパーの総菜売り場でアイデアを探したり、外食先でおいしかった料理を写真に撮って参考にしてみたり。沖縄料理のリクエストに応えようと、食材を求め、名古屋・大須の店まで買い出しにいくこともあったという。
船上での調理は制限が多い。あゆづきの調理室は4畳半ほど。コンロもふた口しかない。しけや嵐で提供できるメニューが限られることもある。
そんな厳しい環境でも「料理を出して、驚いたり、うれしそうだったりする顔を見るのが楽しい」。イカ墨シーフードカレーを初めて作った時は、色に驚かれたものの、食べた船員から「おいしい」と絶賛された。味や種類が豊富なカレーは、調理担当者にとっても、工夫しがいのある、特別な料理になっている。(山本知佳)