タイ軍事政権のプラユット暫定首相が、フェイスブックに新たに個人のページを開設した。「国民とのコミュニケーションのため」としているが、軍政が来年の実施を表明している総選挙をにらんだ「政治活動の一環」ともみられ、批判勢力は反発している。
タイ総選挙、来年2月にも 暫定首相、民政移管に向け
プラユット氏は14日、新たなフェイスブックのページに「私の政策と仕事に関してやり取りするもう一つのチャンネルとして個人のアカウントを開いた」「もし提案や意見交換がしたければ、私に言ってほしい」などと書き込んだ。ツイッターやインスタグラムにもアカウントを開設した。
プラユット氏は首相府の担当チームが運営するフェイスブックのページをすでに持っているが、今回は「個人のもの」だという。
新たなページには、16日午後4時(日本時間午後6時)時点で16万人超が「いいね」をしているが、投稿にはプラユット氏を支持する声がある一方で、「あなたは国にとって重荷だ」などといった批判的な意見も目立つ。
軍政は2014年5月のクーデター以降、政治活動を厳しく禁じてきた。来年2~5月の総選挙実施を表明したことで、最近になって政党の役員選出などは認めたが、ソーシャルメディアの活用を含む政治キャンペーンはできないままだ。
プラユット氏は、親軍政党と連携して総選挙後に正式に首相に就くシナリオを描いているとされる。それだけに、軍事政権と対立するタクシン元首相派のタイ貢献党の関係者は「総選挙に向けたキャンペーンを自分だけ先行させるもので不公平だ」と話している。(バンコク=貝瀬秋彦)