東京電力福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第30回公判が16日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、元副社長の武藤栄被告(68)に対する被告人質問が行われた。公判では、2008年に現場から提案された「最大15・7メートル」の津波対策についての判断の評価が争点となっているが、武藤氏は「(提案の)根拠があいまいだった。先送りと言われるのは心外だ」と述べ、対策を怠ったという見方を強く否定した。 公判では元副社長・武黒一郎(72)、元会長・勝俣恒久(78)の両被告も強制起訴され、全員が無罪を主張している。被告人質問は武藤氏が最初だった。 これまでに行われた証人尋問などを通じては、国の専門機関がとりまとめた地震予測「長期評価」に基づいて東電の子会社が福島第一原発で予測される津波を算出したところ、主要施設の高さを超える「最大15・7メートル」だったことが明らかになっている。原子力・立地本部の副本部長だった武藤氏は08年6月にこの数値の報告を受けており、検察官役の指定弁護士は「翌7月に、津波対策を先送りし、土木学会に検討を依頼するよう指示した」と主張している。 被告人質問で武藤氏は、長期評… |
東電元副社長「先送りと言われるのは心外」津波対策巡り
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