日立製作所が鉄道車両製造拠点の笠戸事業所(山口県下松市)で働くフィリピン人技能実習生40人に実習途中の解雇を通告した問題で、実習生が加入した労組と日立の団体交渉が16日、下松市であった。労組は残りの実習期間にあたる約2年分の賃金補償などを求めているが、この日も日立と合意できなかった。実習生40人のうち20人の滞在期限である20日までに再度、交渉する。
笠戸事業所では実習生に目的の技能が学べない作業をさせていた技能実習適正化法違反の疑いがあり、法務省や国の監督機関「外国人技能実習機構」が検査中。このため日立は新たな実習計画が認められず、技能実習の在留資格がなくなった実習生40人に9~10月、解雇を通告した。実習生は個人加盟労組「スクラムユニオン・ひろしま」(広島市)に加入し、日立と交渉を続けてきた。
同労組の土屋信三委員長は「実習生がもらえたはずの利益を確保したいが、(日立の)回答には不確定要素がある。訴訟の準備はできている」と話した。
20日の帰国が迫る実習生(24)は、報道陣の取材に「(実習目的とは)全く違う仕事だった。日立は一流企業だと思っていたが、何もしてくれない」などと語った。(橋本拓樹、藤牧幸一)