優生保護法(1948~96年)下で、聴覚障害者109人が不妊手術や中絶を強いられていたことがわかった。全日本ろうあ連盟(本部・東京)が15日、全国調査の結果をホームページに公表した。
強制不妊手術への問題意識の広がりを受け、聴覚障害者の被害を掘り起こそうと連盟は3月以降、47都道府県の加盟団体を通じて本人や家族への調査を実施。6月に70人が不妊手術や中絶を強いられたとする中間報告を発表していた。その後も調査を続け、9月30日時点の結果をまとめた。47団体のうち14団体は現在も調査継続中としている。
109人の内訳は女性83人、男性26人。中絶後に不妊手術を受けるなど手術を複数された被害者もおり、件数は127件にのぼる。内訳は女性への不妊手術46件、男性への不妊手術26件、中絶39件、具体的な手術方法がわからないケースが16件。法に基づく手術かどうかや本人の同意の有無を確認できる記録が残っている例は少なかった。今回の被害者数には含めていないが、障害を理由に結婚や出産を反対されたり、産んだ子どもを養子に出されたりした例もあった。
優生保護法は、「遺伝性の難聴又(また)はろう」の人に対し、本人の同意が不要な強制不妊手術を認めていた。(田中陽子)