フランスのマクロン大統領が17日午後(日本時間同日夜)、パリの大統領府で訪欧中の安倍晋三首相と共同記者発表に臨んだ直後、女性から直訴を受ける一幕があった。訴えたのは、栃木県日光市で行方不明となったフランス人女性、ベロン・ティフェヌ・マリー・アリックスさん(36)の妹だった。
妹は仏テレビ局の記者、シビル・ベロンさん。大統領府中庭での共同記者発表後、取材ゾーンから「大統領、私は日本で行方不明になったベロン・ティフェヌの妹です」と呼びかけた。大統領府の建物に入ろうとしていたマクロン氏は振り返り、「この問題は適切な枠組みで取り上げる。記者団の前では取り扱わない」と返答。その後、シビルさんを急きょ大統領府の中に招き入れた。
シビルさんによると、両首脳と数分間、面会した。行方不明事件の説明をして、協力を求めることができたという。その後、日本の当局者から電話があり、川での捜索を行うとの説明があったという。
訪欧に同行している野上浩太郎官房副長官によると、安倍首相はシビルさんとの面会時、「引き続き全力を尽くしていきたい」と話したという。
行方不明となっているベロンさんは観光のため7月27日に来日。28日に2泊の予定で日光市内の旅館に宿泊し、滞在中の29日午前10時に旅館を出かけてから、行方がわからなくなっている。(パリ=又吉俊充、疋田多揚)