グーグルなど海外の大手IT事業者による国内での個人情報の収集や利用をどう規制すべきか、総務省の有識者研究会が議論を始めた。今は海外企業は関連法の対象外になるケースが多いが、大量の個人情報が流出したケースが相次ぐことも踏まえ、プライバシー保護の観点から規制の強化を検討する。
18日に初会合を開いたのは、「プラットフォームサービスに関する研究会」(座長=宍戸常寿・東京大教授)。
グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンという米国の4社は、頭文字をつなげて「GAFA(ガーファ)」とも呼ばれる。こうした事業者らは、インターネット上で検索やSNS、電子商取引などのサービスを展開。他の事業者のサービスと消費者とを結びつける役割も果たすことから、「プラットフォーム事業者」と位置づけられる。
こうしたサービスは世界各国で生活に欠かせないものになった一方で、利用者が何を検索したり買ったりしたかや、どこに行ったかといった個人情報をGAFAなどが大量に集め、広告販売や他のビジネスに生かしていることには、批判の声もある。欧州連合(EU)は今年5月に新たな規制を導入し、企業や団体が欧州域外に個人情報を持ち出すことを原則禁止した。
日本の憲法では「通信の秘密」が保障され、通信事業者が通信内容をもらした場合などは、電気通信事業法で罰則が定められている。ただ、対象は基本的に国内の事業者に限られており、GAFAのように日本に設備があっても実質的に海外の本社が管理している場合、法の規制は及ばない。
研究会では、GAFAも法規制の対象にするかどうかなどを検討する。この日の会議では、フェイスブックやグーグルで大量の個人情報が流出したことから、消費者団体の代表は「自分の情報がどう管理されているか見えないので不安だという声が多い」と指摘。他の委員は「(事業者が)誰がいつどのページにアクセスしたかを知ることは、通信の秘密の侵害にあたる可能性がある」とした。
研究会ではこのほか、オンライン上の「フェイク(偽)ニュース」や偽情報への対応策などについても検討し、来年春に報告書案をまとめ、総務省が政策に反映させる予定だ。