日本相撲協会の暴力の実態を調査した第三者委は日馬富士による傷害事件も改めて検証した。報告書は、現場で暴力を止めようとする力士はおらず、横綱白鵬は事件後の協会の聴取に「今回の事件は、あえて『愛のムチ』と呼びたい」と答えたと明かした。また、他に日馬富士からびんたを受けた力士は「ごっつあんです」と応じたという。
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「角界、暴力容認の意識根強い」 第三者委が最終報告書
但木委員長はこうした言動が「(指導名目の暴力を容認する)考え方を表している」と批判した。
第三者委は、モンゴル出身力士の間で、部屋が違うにもかかわらず兄弟弟子のような特別な上下関係が築かれ、事件につながったと分析。「生活指導は部屋の師匠が行うのが部屋制度のルール。部屋の外に従わないといけない関係があることは、部屋制度を脅かす危険がある」と警告し、他の部屋の力士との「過度に親密な交際」を禁じる対策も必要だとした。
また、横綱の品格についても言及した。朝青龍、日馬富士が暴力問題で角界を去るなど、近年は横綱の不祥事が続いているにもかかわらず、横綱審議委員会などが適切な助言をしていないとし、昇進時や在位中に特別な指導を行う仕組みが必要だと訴えた。(菅沼遼)