現役時代に優勝22回を誇った貴乃花親方と日本相撲協会との溝は埋まらぬまま、1日、大横綱が協会を去った。中ぶらりんになっていた弟子らの処遇については移籍が正式に決定。受け入れ先の準備も整った。
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「精いっぱい説得して、ずっと(貴乃花親方を協会に残す道を)探していた。私の力不足。無念です」。協会理事会と貴乃花親方との連絡役だった阿武松理事(元関脇益荒雄)はそう振り返った。別の協会理事は弟子らの移籍について「新たな環境に入る方も、受け入れる方も大変ですよね」。
力士8人と床山、世話人を引き受ける東京都台東区の千賀ノ浦部屋ではこの朝、秋場所後の休みが明け、稽古が再開された。千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は「部屋はきれいに掃除して準備は整った。(力士が増えて)これから稽古が活気づく」と前向きだった。2日までに引っ越しを終え、3日から新たな体制で稽古が始まる予定だ。
貴乃花親方が育てた唯一の三役力士で、千賀ノ浦部屋で番付が最も高い部屋頭となる貴景勝はこの日、東京・国技館で全日本力士選士権に参加。所属先の変更が正式に決まったことを問われると、「わかっていたことだから。今まで通り相撲を磨いていくだけです」と話した。
貴乃花親方の支援者らが作るホームページでは、貴乃花親方名義で「大相撲は不滅です。土俵は必ず日本国の遺産として遺(のこ)ります。どうか千賀ノ浦部屋のご支援ご後援を賜れますようにお願い申し上げます」などとする投稿があった。