第54代横綱、輪島大士さんが70歳で亡くなり、9日、現役時代にしのぎを削ったライバルらも悼んだ。
元横綱の輪島さん死去 黄金の左、「輪湖時代」築く
常識破り続けた天才、輪島 併せ持った派手さ強さもろさ
「びっくりした」と、同い年の元横綱三重ノ海の石山五郎・相撲博物館長は声を落とした。中学卒業後に入門した石山さんと日大出身の輪島さんは、幕内で43度対戦。石山さんの16勝27敗で、輪島さんが先に横綱に昇進した。「学生相撲に負けられないというのはあった。ホテルから部屋に通うなど、当時の相撲界では考え方が『番外』で、それだけの結果も出したし。うらやましくもあったね」
引退後もひんぱんに食事をしていた仲。輪島さんが金銭問題で日本相撲協会を去る前にも2人で話したといい、「『大丈夫だ』と本人は言っていたのに。あんな形になって残念」と振り返った。
輪島さんから7個の金星を獲得した元関脇高見山の渡辺大五郎さん(74)。「輪島さんは体の大きい私が相手でも逃げない。まともに来るからやりやすかったのかもしれないね。北の湖、千代の富士、輪島……、戦った横綱がどんどん亡くなる。寂しいですよ」
石川県出身の幕内・遠藤は「小学生の頃、地元の相撲大会で色紙にサインをもらい、一緒に写真を撮り、舞い上がったことを思い出します」。輪島さんは日大の大先輩。「憧れであり、目標でした。残念でなりません」と話した。
日本相撲協会はこの日、輪島さんが亡くなったとの確認が取れていないなどとして、協会として談話などを公表するのを控えた。