JR西日本の来島(きじま)達夫社長は24日、新幹線のトンネル内に社員を座らせ、最高時速300キロで通過する車両の速度や風圧を体感させる研修を見直し、実施場所を線路脇の柵外に移すと発表した。労働組合の一部から危険だとして中止を求められていた。
目前に新幹線、恐怖の風圧体験研修 労組「見せしめだ」
JR西はトンネル内での研修を見直す理由として、立ち入り手続きや安全確認に手間がかかることを挙げた。さらに昨年12月に新幹線の台車に亀裂が入ったまま走行を続けた問題を受け、明るい場所で台車やパンタグラフの状態を目視する訓練も追加するためと説明。11月以降はトンネル外の線路脇にある柵の外で、体感研修を続けるという。来島社長は体感研修について「安全に十分配慮しており、必要性もある」との認識を変えず、「車両検査に従事する技術者の安全意識や技能の向上に取り組んでいきたい」と述べた。
体感研修は2015年に福岡県内のトンネルを走行中の新幹線車両から部品が落下し、乗客1人が負傷した事故を受け、16年から始まった。博多総合車両所の担当者らを対象に計29回実施され、約240人が受けた。JR東海は柵外で、JR東日本とJR九州はホーム上で実施している。(波多野大介)