長野県防災ヘリコプター「アルプス」が昨年3月、同県松本市の山中に墜落して機長や整備士ら9人全員が死亡した事故で、国の運輸安全委員会は25日、報告書を公表した。機長が一時的な居眠りに陥るなど意識状態が低下したために危険を回避できず、墜落した可能性があると指摘した。
事故は昨年3月5日午後1時40分すぎに起きた。9人は救助訓練を行うためにヘリに搭乗していた。
報告書によると、搭乗者が撮影したビデオから、ヘリは約1740メートルまで高度を上げた後で右旋回し、水平飛行を約1分30秒間続けたことが判明。その後樹木にぶつかりながら直進し、山の斜面に墜落した。
この間、機長が衝突や墜落を回避しようとする様子も、意図的に衝突しようとした様子も確認されなかった。機体の異常を示す警告音なども録音されておらず、墜落後に回収されたエンジンにも異常は見つからなかったという。
一方、機長は事故の6日前まで時差が7時間あるフィンランドへ10日間の海外旅行に行っていた。また、事故当日の午前中は救助でヘリを緊急運航していた。報告書はこれらの経緯などをふまえ、水平飛行中に疲労や時差の影響で一時的な居眠り状態に陥るなど機長の意識状態が低下し、衝突や墜落を回避できなかった可能性があると指摘した。ただ、「実際にそのような状態に陥っていたかどうかは明らかにすることができなかった」とした。
また、機長は持病のため普段か…