大阪府警富田林署で留置中だった樋田淳也被告(30)が逃走した事件で、府警は監督責任を問い、同署長を近く地方公務員法に基づく懲戒処分にする方針を固めた。逃走時に留置管理を担当していた当直の署員ら数人も懲戒処分にする。49日にわたった樋田被告の逃走事件は、富田林署の留置管理の規律を問う事態に発展する見通しとなった。
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捜査関係者への取材でわかった。府警はこのほか、同署の留置管理担当者らや、留置を担当する府警本部の幹部らについても、府警の内規に基づく処分を検討している。
樋田被告は8月12日夜、同署の面会室で弁護士と接見後、アクリル板を押し破って逃走したとして加重逃走罪で起訴された。当時約20人の署員がいたが、誰も気づかなかったという。事件後、面会室の出入りを確認するブザーの電池が少なくとも1年以上前から入っておらず、作動しなかったことや、設置後30年ほど経過しているアクリル板の点検が目視のみだったことが発覚。留置管理のずさんさが指摘されていた。
府警が連日3千人態勢で行方を追う中、樋田被告は9月29日に山口県周南市の道の駅で万引きをしたとして身柄を確保された。
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〈富田林署逃走事件〉 強制性交容疑などで逮捕されていた樋田淳也被告(30)=加重逃走罪で起訴=が8月12日夜、接見後に大阪府警富田林署の面会室のアクリル板を押し破って逃走。49日目の9月29日、山口県周南市の道の駅で万引きをしたとして身柄を確保された。その後、自転車で日本一周中の旅行者を装って中四国を経由して移動していたことが判明。確保時には大量のアウトドアグッズや日用品を所持しており、府警は盗んだ疑いがあるとみている。