日本サッカーの3大タイトルの一つ、ルヴァン杯の決勝が27日に埼玉スタジアムで開催される。横浜マは17年ぶり、湘南は初優勝を狙う。26日には前日会見があり、両チームの監督が互いを褒め合った。 ともに攻撃的なサッカーを志向する。開口一番で相手をたたえたのは横浜マのポステコグルー監督だ。「湘南をリスペクトしている。曺貴裁監督の元で素晴らしいサッカーをしている」。今季リーグ戦では2回対戦し、4月21日は4―4の引き分け、8月11日は1―0で競り勝った。「4―4のときは、互いに監督としてドキドキした」 湘南の曺貴裁監督は「横浜マは選手が成長しているのを実感できるサッカーを志向している。ポステコグルー監督のチーム作りに興味がある」。試合展開について、「横浜マの攻撃にふたをするのは難しい。互いの良さを出しながら、粘ってやりたい」と話した。 ◇ 「神奈川ダービー」のチームのキーマン、横浜マのMF天野純(27)と湘南のMF金子大毅(20)に優勝への思いを聞いた。 俊輔2世は「昨季までと百八十度違う」 圧倒的な攻撃力を誇る横浜マ。1試合の平均得点はリーグ戦で1・77、ルヴァン杯で2・17とJ1全18クラブでトップだ。司令塔の天野は正確な左足のキックで攻撃に変化を生み出す。 「点を取られても、取り返せばいいという考え方。失点もするから、見ている人もハラハラドキドキできるんじゃないかな。昨季までとは百八十度違う」 DFラインを上げて、ボール支配率を高める。攻撃に人数を割く戦術を、今季就任したポステコグルー監督が導入した。一方で逆襲を浴びやすいのが弱点だ。 「攻撃で相手をしっかり敵陣に押し込めば、カウンターを受ける機会も減る。リスクマネジメントもできるようになってきた」と天野。 今年9月のコスタリカ戦で日本代表デビューを果たした。自身の成長も感じている。「以前なら相手からプレッシャーを受けてボールを後ろに下げていた場面でも、今は前に進む意識が強い。そこは伸びている」 横浜マの下部組織育ちで、トップには昇格できなかった。順大を経て、2014年に横浜マでプロ入り。回り道した経歴と、左足から芸術的なシュートを放つ姿は、2年前までチームの顔として在籍した中村俊輔(磐田)と重なる。そのために「俊輔2世」と呼ばれる。 「比較されるところまでやっと追いついてきた。決勝はセットプレーが重要になる。FKやCK一発で流れに乗ることがある。責任を持って蹴りたい」 プロ5年目、タイトルはまだ手にしていない。J1を3度制した名門は、13年度の天皇杯を最後に3大主要タイトルから遠ざかる。「強豪と言われるのは、偉大な先輩方が作り上げたもの。僕らは何もやっていない。ここから新しい歴史を作り上げていくために、ルヴァン杯の優勝は大事な第一歩になる」(吉田純哉) 湘南のラッキーボーイ「リーグで1番走る」 MF金子はルヴァン杯決勝トーナメントで、湘南のラッキーボーイ的な存在になっている。 神奈川大を1年で中退し、今季から湘南に加入した。リーグ戦では出番が少なかったが、9月の準々決勝は2試合連続得点の活躍を見せた。特に、第2戦のセ大阪戦では日本代表MF山口蛍へのパスをカットし、自陣からドリブルで独走してシュートを決めた。準決勝第2戦のPK戦では5番手を任され、「一番確率が高いかなと思った」と大胆にもど真ん中に蹴り込んだ。 若手が失敗をおそれず、積極的にプレーする。7年目を迎えた曺貴裁(チョウキジェ)監督(49)のサッカーが染み渡っている。金子も「アグレッシブにチャレンジするところが湘南の良さ。リーグで一番走るサッカーを見て欲しい」と言う。 個々の能力ではJ1のほかのクラブよりも劣るが、誰一人として走るのをいとわない。「練習でも気を抜いたプレーをしたら、すぐに監督の大声。練習時間も長くはないけど、密度が濃くてきつい」と金子は話す。厳しい練習に裏打ちされた走力で、湘南のJ1での1試合当たりの走行距離(21日現在)は平均115・86キロでリーグトップだ。 この走力を武器にDF陣ですらチャンスと見れば攻撃に参加する、縦に速いサッカーは観客だけでなく、選手自身を魅了する。金子も「積極的にプレーしてミスしても何も言われない。自分の特長も、攻守にアグレッシブに行くこと。そういうことがチームとしてできているので、やっていて楽しい」。 湘南にとって、ルヴァン杯初優勝と1994年度の天皇杯以来のタイトルがかかる。それでも、金子は「相手よりもまず自分たちの力を発揮すること。いつも通りに積極的にやりたい」。横浜マに走り勝つつもりだ。(河野正樹) |
神奈川ダービー、プライドかけ激突 ルヴァン杯決勝
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