中国が「中東のシリコンバレー」とも言われるイスラエルとの関係を深めている。中国は歴史的にパレスチナと親交が深く、イスラエルも中国との関係が悪化している米国の事実上の同盟国。それでも実利で一致し、貿易や投資額は増加。米中の対立が深まるなか、「蜜月関係」は強まっている。
習近平(シーチンピン)国家主席の盟友と言われる王岐山(ワンチーシャン)国家副主席が22~25日、イスラエルを訪問した。中国指導者のイスラエル訪問は、2000年の江沢民国家主席(当時)以来18年ぶり。ネット通販大手・アリババ集団の馬雲(マーユン)(ジャック・マー)会長らも同行し、力の入れようがうかがえた。イスラエルも「最も重要な中国の要人」と歓迎した。
王氏は25日、商都テルアビブで両国が協力するイノベーション(技術革新)分野の拠点発足の式典にネタニヤフ首相と出席。「イスラエルは今や世界に知られたイノベーション大国。両国は協力して多くのことを達成できる」と演説した。
中国は1988年にパレスチナをいち早く国家として承認した親アラブ国だが、92年にイスラエルとも国交を結んだ。ネタニヤフ氏が2013年に訪中し、習氏と会談して以降、急速に関係を強化している。
中国政府側の統計によると、17年の両国の貿易額は前年から約15%伸びて130億ドル(約1兆4600億円)。シルクロード経済圏構想「一帯一路」の後押しもあり、中国の対イスラエル投資は70億ドル(約7800億円)を超え、港湾建設など大型インフラ事業も次々と落札している。
最近は特に先端分野への投資が増えており、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や小米科技(シャオミー)はイスラエルに研究開発センターを設立している。双方の大学や研究機関の協力も相次ぐ。
中国が狙うのは先端技術だ。イスラエルは、サイバーセキュリティーや人工知能、ロボット、医療機器、バイオテクノロジーなどの分野で世界の先端を走る。低価格製品を輸出する「世界の工場」から脱却を図りたい中国は、イスラエルとの協力で独自技術の開発を強化する狙いがある。「知的財産が中国に盗まれている」と主張する米国との協力が見通せなくなった今、イスラエルの技術への期待はさらに高まっている。
イスラエルにとっても中国は米…