井山裕太名人(29)に張栩(ちょうう)九段(38)が挑戦し、3勝3敗のタイで迎えた第43期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の最終第7局は2日、静岡県河津町の旅館「今井荘」で再開した。白番の挑戦者の強手で黒の一団が浮き上がり、この石をめぐる攻防が大きな焦点となった。
囲碁名人戦第7局をタイムラインで観戦
前日に挑戦者が封じた左辺の白72は、白の勢力圏に踏み込んだ黒の一団と、左下隅の黒の根拠地との連絡を妨げた強手。以下、びしびし形を決めて、白80で分断を実現した。
名人は、浮石となった黒の一団を、白の包囲網の中で居直ろうとする。序盤に各所の隅を占めて、実利では先行している。しかし白の構えは全体に隙がなく、挑戦者が黒の浮石にどれだけ迫り、追い込みを図れるかが勝負となりそうだ。
解説の本木克弥八段は「封じ手は予想にない強手でした。AI(人工知能)の形勢判断では白のほうが勝率が高いですが、人間の見た目では黒への攻め方がとても難しい。形勢不明だと思います」と話した。(大出公二)