昨年の名人戦でタイトルを奪還し2度目の七冠に返り咲いた井山裕太名人は、碁聖戦に続く失冠で五冠に後退した。
張九段が10期ぶり名人奪取 井山名人を4勝3敗で破る
囲碁名人戦の激闘をタイムラインで
昨年は「今までの棋士人生で一番いい状態」で、名人奪還を含め史上初の七大タイトル年間グランドスラムを遂げた。だが、好不調の波があるのは棋士の宿命。今年に入って調子は右肩下がりだった。
加えてシリーズ中、例年にも増して過密対局となった。シリーズ中、世界戦で2度韓国に渡り、第5局からは国内の他のタイトル戦とも重なり、第7局まで中2日で6戦。対局と移動でほとんど休む間もなく戦い続けたが、第6局から3連敗で本局を迎えていた。
碁聖戦では9歳年下の許家元七段(当時)に敗れ、名人戦では9歳年上の張栩九段に敗れた。あらゆる世代が井山一人を標的に挑んでくる。「対局が一番の薬」「自分にはまだ成長の余地がある」。自らを鼓舞し、切れ目ない戦いの中に活路を求める。(大出公二)