3勝3敗のタイにもつれ込んだ第43期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第7局は2日、静岡県河津町の旅館「今井荘」で打ち継がれ、午後6時34分、挑戦者の張栩九段(38)が井山裕太名人(29)に271手で白番4目半勝ちを収め、タイトルを奪取した。10期ぶり通算5期目の名人獲得となる。
囲碁名人戦の激闘をタイムラインで
2009年に井山に敗れ、名人を失って以来の出場となる今期七番勝負は、1勝3敗から3連勝の逆転で雪辱を果たした。通算タイトル獲得数は歴代7位の40となった。
張は井山の台頭前、七大タイトルのうち五冠を占める最強棋士だったが、13年に無冠に。翌年からタイトル挑戦にも届かず低迷していたが、現在最強の井山を破り、復活を遂げた。
昨年に名人を奪還して七冠に返り咲いた井山は、今期名人戦直前の碁聖戦に続く失冠で五冠に後退。同時に七大タイトルで序列上位の名人、棋聖、本因坊を併せ持つ「大三冠」も崩れ、囲碁界の井山1強の構図が揺らいでいる。(大出公二)