「PL」の名を再び全国に――。9日に開幕する明治神宮大会に、特別な思いで臨む選手たちがいる。高校野球史に多くの功績を残しながら、2016年を最後に休部したPL学園(大阪)のOBが複数所属する関西国際大(関西5連盟第2代表)。選手たちは、母校への思いを胸に、プレーボールの時を待っている。
PL学園は、不祥事の発覚で13年夏の選手権大阪大会に出場できなかった。指導者が実質不在となり、16年夏を最後に、60年に及ぶ名門の歴史は幕を閉じた状態になっている。
野球経験のない校長が監督に就いた14年、監督に代わってベンチからサインを出したのが関西国際大の現主将、宇佐美秀真(4年)。今秋のドラフトでオリックスから7位指名を受けた中川圭太(東洋大4年)とともに副主将として作戦を考えていたのが、今も大学で副主将の藤原朋輝(4年)。エースだった渋谷勇将(同)と、控え外野手だった藤岡篤史(同、現在は阪神リーグ学生委員長)も一緒に進学。「最後の世代」となった2学年下の投手兼外野手の藤村哲平も後を追い、現在5人のOBが集う。
PL学園と関西国際大の縁は深い。チームを率いて16年目の鈴木英之監督(51)もOB。清原和博、桑田真澄両氏の1学年先輩で、当時は「4番清原、5番桑田」の前を打つ3番打者だった。「今で言う大阪桐蔭のような存在だった母校を、忘れてほしくない。全国の舞台で少しでも思い出してもらえたらうれしい」と話す。
選手たちも思いは同じ。宇佐美は「球場で『PL学園』とアナウンスされると気持ちがいいし、誇らしい。それだけに今でも『なんでこうなったんだろう』と複雑な気持ちになるときがある」。全国の舞台へ向け、「卒業生として、あのときの悔しい気持ちを少しでも晴らせたら」と意気込む。
かつて「逆転のPL」と言われた同校OBの存在もあってか、関西国際大は粘りが身上。接戦に強く、秋のリーグ戦では、勝利した10試合のうち、7試合が1点差だった。神宮行きを決めた10月の第2代表決定戦も、九回裏2死からサヨナラ本塁打が出た。
神宮での初戦は、大学の部の開幕戦。「先攻だったらうれしい」と話すのは、1番打者の外野手・藤原だ。名前とともに出身高校が紹介されるため、「先攻になれば、全国で一番最初に母校の名前が読み上げられる。たくさん勝って、たくさんPL学園の名前を神宮に響かせたい」。
関西国際大は、9日午後1時半に中部学院大(北陸・東海3連盟代表)との初戦に臨む。(高岡佐也子)