東京六大学の秋季リーグ戦は、法大の12季ぶり45度目の優勝で幕を閉じた。優勝回数は早大と並んで最多を誇るが、東大を除く5校の中で最も優勝から遠ざかっていた。名門復活の要因の一つに挙げられるのが、1年生右腕・三浦銀二(福岡大大濠)の活躍だ。
最速150キロの三浦はこの秋、8試合に登板し3勝1敗。防御率は、ロッテからドラフト3位指名を受けた早大の小島和哉(浦和学院)に次ぐリーグ2位の1・99をマークした。さらに49回と3分の2を投げて、四死球はわずかに8個。高校時代から定評のあった制球力に磨きをかけた。
春のリーグ戦では救援で2勝を挙げたルーキーは、9月8日のチームの開幕戦で先発の大役を任された。青木久典監督は「(開幕前の段階で)一番力のあるボールを投げていた。甲子園の実績もあり、オープン戦でも結果を出した。私も打席に立ったが、ボールが生きていた」と白羽の矢を立てた理由を語る。
三浦が一本立ちしたことで、エース格だった4年生の菅野秀哉(福島・小高工=現小高産業技術)らを救援に回せるようになり、投手陣の厚みが増した。
三浦は高校3年の2017年春の選抜大会に出場し、8強入り。その後、清宮幸太郎(東京・早稲田実、現日本ハム)が主将を務めたU18(18歳以下)の日本代表に選ばれた。投手陣には立大の川端健斗(熊本・秀岳館)、早大の徳山壮磨(大阪桐蔭)らがいた。
法大進学後、三浦は投球フォームを変えている。足を2度上げるような、ゆったりとためを作ったフォームになった。効果は打者のタイミングを外すわけでもなく、軸足の右足にしっかりと体重を乗せることでもなかった。「言葉にしづらいんですが、打者との間が取れる」という。
優れた投手は、足を上げたときに打者の狙いや呼吸を感じ取れる。捕手のサインとは別に、とっさに比較的甘い直球ですっとストライクを取ったり、ボールになる変化球で空振りを誘ったり。三浦もそれができているのだろう。
川端、徳山とは「ナイスピッチング」「お前打たれとったやんけ」と刺激し合う仲だが、U18でエース格ではなかった自身がリーグ戦優勝一番乗りを果たした。「あと3年、6シーズンですか。そこに生かせるようにしたい」。充実したシーズンを振り返った。(坂名信行)