東都大学野球リーグ・東洋大の「最速150キロ超トリオ」の一人としてドラフト1位候補に挙がりながら、リーグ戦の勝ち星をつかめずにきた梅津晃大(うめつこうだい、4年、仙台育英)が18日、初勝利を手にした。ドラフト会議(25日)を翌週に控えるなか、今季6試合目、通算11試合目での達成に「野球をやっててよかった」としみじみ話し、チームメートらと喜びを分かち合った。
4季連続優勝へもう1敗もできない状況で迎えた、春季2位の国学院大との3回戦。「勝つための作戦」(杉本泰彦監督)として、あえて先発ではなく4番手として五回から起用された梅津は、伸びのある直球でコーナーを突く攻めの投球が光り、4回無安打3奪三振。八回まで1人の走者も出さなかった。
「つないでくれた他のピッチャーと、点をとってくれた野手に感謝です。まっすぐで押す、自分らしい投球ができたのも皆のおかげ」。試合後、ほっとした様子で笑顔を浮かべた。
東洋大の誇るドラフト1位候補の「150キロ超トリオ」は、いずれも右腕で、今春6勝して3連覇の立役者となった最速151キロの上茶谷(かみちゃたに)大河(4年、京都学園)、昨秋の最優秀投手で、最速160キロ近い抑えのエース甲斐野央(ひろし、4年、東洋大姫路)と梅津だ。
梅津の魅力は、187センチの長身を生かしたしなやかなフォームで繰り出す直球の球威。だが、大学入学後は故障やけがに苦しんだ時期が長かった。1部リーグ戦デビューは3年秋。いきなり151キロを投げて神宮を沸かせたが、4試合目で足を負傷して離脱。エースとして期待された今春も、開幕翌週のオープン戦で足に打球を受けて負傷し、残りシーズンを棒に振った。
そして迎えた最後の秋。9月5日の開幕カード(対立正大)が5回無失点、続く2試合も1失点と好投しながらも、打線の援護が足りずに勝ちを逃す試合が続いていた。それでも「落ち込んでいる時も、野手の皆が明るく接してくれたから前を向けた」と感謝する。
初勝利の日は、これまでになく打線が好調だった。それを象徴したのが、三回に主将で4番の中川圭太(4年、PL学園)が放った今季1号2ラン。「今まで全然援護できなくて、待たせてごめんという気持ち」と中川。試合後、親友でもある中川からウィニングボールを手渡された梅津は「自分のことのように喜んでくれていて、泣きそうになった」とも明かした。
ようやくかなった初勝利に「もう届かないかと思っていた。ここまで、めちゃくちゃ長かったですけど、野球をやっていてよかった。今までの負けの悔しさが一瞬で消えた感じ」と梅津。4連覇をかけて挑む亜大との最終戦へ「気持ちを切り替えて、また全力で臨みたい」。(杉山圭子)