武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長は14日、米ニューヨークから日本の報道各社とのテレビ会見に臨み、12月5日に開く臨時株主総会でアイルランドの製薬大手シャイアーの買収への株主の賛否を問う議案をはかることについて、「多くの投資家に会い、買収の意味や根拠を理解してもらった。高い支持率が得られると思う」と述べ、議案の可決に自信を見せた。
シャイアーの買収総額は日本企業として過去最高となる総額約460億ポンド(6・8兆円)。買収額が高すぎるとの批判に対しては、「その評価は間違っている。公正な算定をしているし、支払価格には納得している」と指摘。買収の発表後に株価が低迷していることについては、「買収が完了して数カ月後に新会社の戦略を数字で示せれば、価値を認めてもらえると信じている」と話した。
臨時株主総会で買収について株主の3分の2以上(議決権ベース)の賛成が得られ、欧州当局の認可手続きも順調なら、買収手続きは年明けにも完了する予定だ。臨時総会では、社外取締役に、シャイアーの社外取締役3人を迎える人事議案も提案する。(箱谷真司)
武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長と報道陣のテレビ会見での主なやり取りは次の通り。
――ここまでの買収手続きの手応えは。
「順調に進んでいる。統合も含め、新しい会社のプロセスが進むことを投資家も楽しみにしてくれていると思う」
――シャイアーから迎える予定の3人の社外取締役への期待は。
「3人は製薬業界で深い経験があり、アメリカ市場についても深い知識を持っている。武田の取締役会を強くしてくれる」
――買収に反対する株主にどう説明するか。
「債務レベルは一時的に上がるが、次第に解消していく。この買収が長期的な成長のために必要だと、繰り返し説明する」
――統合後はどんな会社になるのか。
「研究開発主導のグローバルな会社になる。年間4千億円を研究開発に投資して新薬を届け、世界トップ10の会社として米国でも価値観を示せる」
――本社は日本に置き続けると明言されたが、買収後の人員のバランスは。
「買収後は、日本人が従業員の10%になる。全ての従業員が、武田の価値観は歴史にひもづいていると理解しており、日本の企業であることとグローバルに従業員がいることに矛盾はない」