医師免許がないのに客にタトゥー(刺青(いれずみ))を施したとして医師法違反の罪に問われた大阪府吹田市の彫り師、増田太輝被告(30)の控訴審判決が14日、大阪高裁であった。西田真基裁判長は罰金15万円(求刑罰金30万円)とした一審・大阪地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。
増田被告は2014年7月~15年3月、医師免許がないのに客3人にタトゥーを施したとして15年8月に略式起訴され、翌月に罰金30万円の略式命令を受けたが拒否。正式裁判でタトゥーを客に施すことが医師法の定める「医業」に当たるかどうかが争われている。
一審判決は、医業とは「医師が行わなければ保健衛生上、危害を生ずるおそれのある行為」と基準を示した上で、タトゥーの施術は皮膚障害やアレルギー反応を起こす可能性があり、医学的知識や技能が必要で医師が行うべきだと結論づけた。
弁護側は控訴審で、タトゥー施術は病気の治療などが目的の医療行為ではないとして改めて無罪を主張。医師免許の取得には長い時間と多額の費用がかかることから、憲法が保障する職業選択の自由や、タトゥー施術を自己表現の芸術活動とする被告の表現の自由を侵害すると訴えていた。(大貫聡子)