財務省が発表した今年6月までの1年間の金密輸事件は前年比1・5倍の720件、脱税額は同1・7倍の約15億円と、ともに過去最高を更新した。同省は密輸対策に一定の効果があったとみているが、見つかった分をはるかに上回る量の金が「水際」での検査を逃れ、国内に入っているとみられる。
金の密輸は輸入時に支払いを不正に逃れた消費税分だけ密輸業者に利益が入るため、2014年の消費増税以降、急増している。
財務省によると、税関に申告しない金の密輸は約7割が韓国と中国(香港・マカオを含む)からで、全体の約96%(691件)が航空機で運ばれていた。体に巻き付けて隠す手口が多かったが、形を加工して、下着やモバイルバッテリー内に隠すという新たな手口も見つかった。
財務省は昨年末から密輸対策を強化。空港に金属探知機やX線検査装置を増やし、今年4月からは、金密輸に対する罰金を大幅に引き上げる改正関税法を施行した。担当者は「対策で(摘発件数の増加など)ある程度の効果は出ている」と話す。
ただ、この1年間で把握できた…