その郵便局で投函した手紙は、10年後に届く。訪れた人たちは、成長した娘へ、未来の自分へ、思いを込め、文をしたためる。
屋外に歴史的建造物を展示する愛知県犬山市の「博物館明治村」。その中にドーム形の屋根をいただく建物がある。国重要文化財の「宇治山田郵便局舎」。1909(明治42)年、当時の三重県宇治山田市(現伊勢市)の伊勢神宮外宮前に建てられた。伊勢市史は「外宮前周辺を転々としていた山田郵便局は(中略)モダーンな局舎を新築、移転した」と伝えている。69(昭和44)年に移築された。
10月の週末。伊勢地方よろしく、年中しめ縄を飾る入り口から中へ。「公衆溜(たまり)」と呼ばれる円形のホールは、10年後に届けられる「はあとふるレター」をしたためる人であふれていた。実際に簡易郵便局として営業しているのだ。明治村が業務を受託し、切手が買えるし貯金もできる。
「レター」は切手代込みで1通…