愛知県に、富士山をこよなく愛する男性がいる。と言っても、世界文化遺産の名峰ではなく、コンクリート製遊具「富士山滑り台」(正式名・プレイマウント)だ。半世紀前に名古屋で誕生した公園のシンボルは、わかっているだけで中部地方に129カ所ある。11月3日には名古屋市内で見学ツアーが開かれる。
愛知県津島市蛭間町の会社員牛田吉幸さん(48)は、富士山滑り台を研究して18年。滑り台がある公園に行くと、まず山肌に埋められた石を足がかりにして頂へ登り、一気に滑り降りる。「どれも同じように見えますが、滑り心地やコンクリートの質感、傾斜の角度が微妙に違いますよ」と笑う。
写真撮影が趣味だった牛田さんは、被写体を探していた時、児童公園の富士山滑り台が目に入った。「コレクションしたら面白そう」と好奇心に火がつき、休日は地図を手に名古屋市内の公園を巡った。「1日で20カ所回ったこともあります。写真の枚数が増えれば増えるほどおもしろくなり、愛着がわきました」
しばらくブランクがあったが、5年ほど前から調査を再開。インターネットの衛星写真などを活用して範囲を広げ、名古屋市内に93カ所、タイプの異なるものも含めて愛知県内(名古屋以外)に31カ所、岐阜県に1カ所、三重県に3カ所、石川県に1カ所あることを突き止めた。
牛田さんは「富士山滑り台は名古屋の公園のシンボル的な存在。観光資源としての魅力もあり、見学ツアーなどを通してPRしたい」と話す。詳しい研究結果はツイッター「名古屋の富士山すべり台」(@223playmount)で公開しており、今後は全国のコンクリート遊具の研究もしたいという。
なぜ富士山滑り台は名古屋に集中しているのか。
公園を管理する名古屋市に牛田…