積水ハウスとの土地取引を巡り、所有者を装った「地面師」グループの15人が逮捕された事件で、警視庁は26日、代金63億円を詐取したなどとして、所有者役の羽毛田正美(はけたまさみ)容疑者(63)ら男女8人を詐欺と偽造有印公文書行使の疑いで再逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
「地面師」を逮捕 積水ハウス土地取引で偽文書行使容疑
大企業すら信じ込ませる「地面師」とは 巧妙に演じ分け
同庁は、所有者を装い虚偽の登記申請をしたとする偽造有印私文書行使などの容疑で15人を逮捕していたが、このうち10月に最初に逮捕した8人を今回初めて詐欺容疑で立件し、事件の全容解明をさらに進める。
他に再逮捕されたのは、常世田(とこよだ)吉弘(67)、佐藤隆(67)、永田浩資(ひろすけ、54)、秋葉紘子(こうこ、74)、生田剛(46)、近藤久美(35)、小林護(54)の各容疑者。
捜査関係者によると、逮捕容疑は他の容疑者らと共謀して昨年3月下旬~6月上旬、偽造のパスポートを使い、東京都品川区西五反田2丁目の廃業した旅館の所有者になりすまして積水ハウスと土地建物の売買契約を結び、代金63億円を詐取したというもの。
同社は容疑者側と7億5千万円でマンションを販売する契約を結んでいたが、詐欺発覚後に契約を解除。実質的被害は55億5千万円として特別損失に計上した。
同庁は今後、主犯格とされる内田マイク(65)、土井淑雄(63)両容疑者ら他の7人についても詐欺容疑での立件を視野に調べる。もう一人の主犯格で、フィリピンに出国したカミンスカス(旧姓・小山)操(みさお)容疑者(58)も国際手配をして行方を追っている。
同庁は、内田容疑者が所有者の個人情報を入手して計画を持ちかけ、カミンスカス、土井両容疑者が羽毛田容疑者らに指示するなどして中心となって実行に移したとみている。