積水ハウスとの土地取引を巡り所有者らになりすました「地面師」グループの15人が逮捕された事件で、警視庁は26日、同社から代金計63億円をだまし取ったとして、所有者役の羽毛田正美(はけたまさみ)容疑者(63)ら男女8人を詐欺などの疑いで再逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。
15人は土地登記申請での偽造有印私文書行使などの疑いで逮捕されており、詐欺容疑での立件は初めて。
捜査関係者によると、8人は昨年4月24日、他の容疑者らと共謀し、東京都品川区西五反田2丁目の廃業した旅館の所有者になりすまし、積水ハウスと土地・建物の売買契約を締結。同日に手付金14億円、6月1日に代金49億円の計63億円をだまし取ったなどの疑いがもたれている。同社は6月9日に土地の所有権移転の登記申請をしたが、書類が偽造されており、法務局に却下されて取得できなかった。
同社は地面師グループ側に7億5千万円でマンションを販売する契約を結んだが、だまされたことが発覚した後に契約を解除。63億円からこの金額を除いた55億5千万円が実質的被害として特別損失に計上した。
詐欺容疑で逮捕される8人は、一連の容疑者の中で最初となる10月16日に逮捕されていた。警視庁は今後、主犯格とされる内田マイク(65)、土井淑雄(よしお、63)の両容疑者ら7人も詐欺容疑を視野に捜査する。もう1人の主犯格でフィリピンに出国したカミンスカス(旧姓・小山)操(みさお)容疑者(58)については、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配している。