トヨタ自動車の高級車・レクサスのSUV「RX」の盗難被害が、愛知県内で急増している。集中的に狙われる明確な理由は分かっていないという。ただ、手口などから窃盗グループが関与しているとみられ、県警はオーナーに注意を呼びかけている。
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県警生活安全総務課によると、県内のRXの盗難被害は、1~7月は月間0~4台で推移していたが、8月に29台に急増した。8月中に確認できた102台の自動車盗難被害でRXが最も多かった。9月も77台中29台で最多、10月は54台中10台でプリウスに次いで2番目だった。
盗まれた場所は、自宅や集合住宅、月決めの駐車場、コインパーキングなど様々。県警の担当者は、RXが集中的に狙われる背景について「転売ルートが新たにできたか、元々ルートを持っている窃盗グループが活発に動き出した可能性がある」と推測する。
レクサスによると、レクサス車にはイモビライザー(電子式盗難防止装置)や侵入センサー付きアラームなどの盗難防止機能が標準装備されている。オーナーが車の位置をGPS(全地球測位システム)で確認する機能もある。県警は、こうした機能は特殊な方法で解除され、盗まれているとみている。
県警によると、対策としては、ハンドルを鍵で固定できる装置を取り付けることが有効という。また、窃盗グループは盗んだ直後にナンバープレートを付け替えて逃走しているとみられ、数百円で手に入る「盗難防止ネジ」に取り換えて、ナンバーを取り外しにくくするのも効果的という。県警は、オーナーへの注意喚起をディーラーに要請し、訪問して防犯診断もしているという。
愛知県は自動車盗が多く、昨年は全国ワースト4位だった。(田中恭太、鈴木春香)
県警によると、RXは組織的な窃盗グループに、犯行時の移動手段として使われる例が複数確認されている。走行性能が良く、車窓も割れにくいため、逃走に適しているという。また、収納スペースが広く、盗んだ金庫などを入れられることも、狙われる理由と考えられている。
名古屋市名東区では5月、盗まれたRXの逃走劇が起きた。不審車両と判断した警察官が、RXの運転手に停止を求めたが逃走。パトカーが追跡したが、運転手はあちこちに接触しながら、道路を逆走して逃げたという。
県警は、他の車などが事故に巻き込まれる危険性があるとして、追跡を断念した。車はその後、パンクして走行できなくなった状態で、愛知県日進市内で放置されていた。県警は、パトカーがRXを発見した状況などから、窃盗グループが使用していたとみている。