三重県伊勢市で今年4月、路線バスが石灯籠(いしどうろう)に接触し、弾みで落ちた石が当たった男性が死亡した事故を受け、石灯籠の撤去を進めてきた国や県、市は27日、伊勢神宮周辺の沿道などにあった計520基の撤去を29日に終えると発表した。最後まで残っていた内宮近くの2基が同日、撤去される。
国土交通省三重河川国道事務所によると、石灯籠は国道23号沿いに99基、外宮と内宮を結ぶ「御幸道路」と呼ばれる県道沿いを中心に329基、市道沿いに8基、内宮近くの駐車場などに84基が設置されていた。県と市は7月10日までにほぼすべての撤去を終え、架線の移設が必要だった国道沿いが残っていた。
事故は4月14日に発生した。三重交通の路線バスが石灯籠に接触し、弾みで落ちた石の直撃を受けた男性が死亡した。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた元運転手は、今月19日に津地裁で禁錮1年6カ月執行猶予3年の有罪判決を言い渡された。
「平成最後の初参りの前に撤去、良かった」
三重県伊勢市の伊勢神宮周辺の沿道などにあった石灯籠(どうろう)の撤去が29日中に終わるという報告を受け、鈴木英敬知事は「混雑が見込まれる年末年始、平成最後の初参りの前に撤去できたのは良かった。改めて亡くなられた方のご冥福をお祈りしたい」と、報道各社の取材に話した。
「命より重いものはないと撤去作業を進めてきたが、新嘗祭(にいなめさい)のころや全国大学駅伝に多くお越しいただくなか、工事に尽力いただき、倒壊などのリスクを除去できた」と関係者への感謝の言葉を述べた。