イタリア映画界の巨人、ベルナルド・ベルトルッチ監督が11月26日に亡くなった。「ラストタンゴ・イン・パリ」などの傑作を残した巨匠の訃報(ふほう)に、批評家の浅田彰さんは寄稿で、「今後ベルトルッチに匹敵する映画作家が登場するだろうか」と問いかける。「ラストエンペラー」などのベルトルッチ作品をプロデュースしてきたジェレミー・トーマスさんも、朝日新聞に追悼の言葉を寄せた。
「ラストエンペラー」の監督が死去 伊のベルトルッチ氏
浅田彰さん(寄稿)
一九六八年の前衛の爆発のあと反動に堕すことなく映画を撮り続けることは可能か。端的に言って、ゴダールやパゾリーニのあと映画は可能か。ヌーヴェル・ヴァーグを自分なりに変奏した瑞々(みずみず)しい「革命前夜」(六四年)の後で若きベルナルド・ベルトルッチが直面したのは、そんな根源的な問いだった。
その難問との苦闘の中から、ベ…