2年以上のキャリアがある俳優は3割しかおらず、才能があれば売れっ子になれるとは限らない――。240万人の俳優と出演作が登録されたデータベースから、芸能界での「成功の秘密」を英国などの研究チームが分析し、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズで論文を発表した。
チームは、日本を含む世界各国の俳優について、映画やテレビ番組など、19世紀後半からの出演作を記録したウェブサイト「IMDb」(
http://www.imdb.com/
)のデータを解析した。活動期間が1年間しかない俳優が、男性は69%、女性は68%もいた。長く活動できる人はごくわずかで、10年間は1%、20年間だと0・4%程度だった。
出演作の数をみると、2本の人は10%強、4本だと3%、8本だと0・9%だった。出演作が2倍に増えると人数がおおむね4分の1に減る「べき乗則」と呼ばれるパターンが成り立っていた。
こうしたパターンは、たとえばSNSなどのサービスがいったん広まり始めると爆発的に利用者を増やすように、限られた「勝ち馬」に利益が集中する現象でよく見られる。俳優も、出演作が多いほど配役の権限を持つ人の目にとまり、次の仕事をもらいやすくなる。人気者になれるかどうかは演技力などの才能よりも、きっかけとなる作品に恵まれたかどうかという偶然に左右されると、チームは分析した。
20年以上活動した俳優につい…