パワハラと過重な仕事が原因で適応障害になったとして、長崎県内の40代男性が、勤務していた長崎市の広告制作会社側に損害賠償や未払い残業代の支払い、従業員としての地位確認などを求めた訴訟の判決が7日、長崎地裁で言い渡される。長崎労働基準監督署は2016年、男性の適応障害について、パワハラと過重な業務が原因の労災と認定している。
訴えによると、男性は2012年春からこの会社に勤務し、広告デザインなどを担当した。14年7月に適応障害と診断されて休職し、1年後に解雇された。
男性側は適応障害の原因として、13年春に異動してきた上司が「いじめや嫌がらせを継続的に行った」と主張。上司が週に数回、大声で2時間以上にもわたり叱責(しっせき)する▽ミスを故意と決めつけ、「うそつき」などと一方的に批判する▽男性の知識を批判するため、答えられなくなるまで業務に関する問題を出し続ける――などの行為があったと訴えている。
さらに、前任の上司が担当していた仕事の多くを、新しい上司が男性に割り振り、長時間労働を余儀なくされたとも主張している。
長崎労基署は16年1月、「明らかに業務指導の範囲を逸脱した発言が執拗(しつよう)に行われていた。時間外労働が月100時間程度の恒常的な長時間労働があった」と判断。男性の適応障害は労災と認めた。
会社側や元上司側は訴訟で、「多少の乱暴な発言や行きすぎた指導を行ったかも知れないが、後継者として将来を託したいとの思いがあってのこと」と反論。「パワハラの不法行為には該当しない事例も取り上げられ、意図的な解釈や思い込みも見受けられる」と訴えを退けるよう求めている。「残業は許可制なのに、男性は無断で行っていた」とも訴えている。(一條優太)