日本航空と全日空の一部のパイロットが社内調査に対し、打ち合わせなどで忙しく、「アルコール検知器を使わずに乗務したことがある」と話していることがわかった。日航は100~200件はあったとし、全日空は393件にのぼるとしている。
日航の副操縦士が英国で逮捕された事件などを受け、国土交通省が11月末に両社に実施した立ち入り検査でアルコール検査データの欠落が見つかり、それを受けた両社の社内調査で発覚した。
日航は、パイロットに検知器を使った乗務前検査を義務づけ、国内では昨年8月以降、不正のしにくい精密型を使い、全データを保存することにしていた。
だが、国交省の立ち入り検査で約22万件の検査結果のうち約3800件のデータが残っていないことが判明した。社内調査の結果、保存できるアプリを起動しなかったことなどが主な原因だったが、検査自体をしなかった事例があることもわかった。
全日空は、羽田空港で乗務する際は精密型を使って全データを保存。1人で検査する代わりに、不正が起きないよう検査時の写真を撮影するようにしていた。
だが、過去1年分にあたる約11万件の検査結果のうち393件のデータが残っていないことが判明。社内調査をした結果、乗務前に会議や面談があったことやほかのパイロットが先に使用していたことで、「検査をし忘れてしまった」とすべてのパイロットが答えたという。
両社とも、乗務に支障のない状態だったと考えられる、と説明している。
国内では、パイロットの乗務前のアルコール検査が義務づけられておらず、実施は各社に任されている。
また、国交省大阪航空局は6日、機長の乗務前の飲酒でフライトが遅れた問題を受け、鹿児島県霧島市にある日本エアコミューターの本社を立ち入り検査した。(贄川俊)