名古屋・栄の愛知県芸術劇場コンサートホールが1年4カ月に及ぶ改修工事を終え、11月末に利用が再開された。国内最大級のパイプオルガンもオーバーホールされ、初の劇場専属オルガニストを置いた。
11月28日夜。再開初日の第一夜はドイツの名門、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団を迎えた。大人気の中国出身のピアニスト、ユジャ・ワンが10センチ以上ありそうなピンヒールで登場。アンコールでジャズアレンジされたトルコ行進曲を超絶技巧で奏でると喝采を浴び、リニューアルを華やかに彩った。
主な改修は、天井の耐震補強や客席のシャンデリア、舞台照明のLED化など。照明のLED化は省エネだけでなく、ホールに熱がこもりにくくなるため熱に弱い楽器に最適だという。
トイレの洋式化も大幅に進んだ。クラシックコンサートは高齢の女性客が多く、しゃがみ込む和式は敬遠されがち。コンサートの休憩時間には女性が洋式に殺到し、長い列ができることも多かった。
今回の改修で、洋式化率は6割から9割に上がった。全国の公共ホールではトイレの洋式化が進み、日本を代表するサントリーホール(東京)は2007年にすべてのトイレを洋式に改修済み。ただ、県芸術劇場は「和式を望む声もある」として一部を残す。
国内有数の規模を誇るドイツ製のパイプオルガンは、パイプの数が6883本、音色を決めるストップ(音栓)は93本。専門の職人がパイプを取り外し、メンテナンスや整音を施した。
11月1日付で都築由理江が専属オルガニストに就任。来年1月からは、中学生から25歳までを対象にオルガン教室を開く。月に1回、都築の個別レッスンで演奏の基礎から音色づくりまで学び、オルガニストの養成にも乗り出す。
■演奏に公演企画、…